ポルシェに水平対向エンジンが組まれている理由は?メリットなどを解説

ポルシェに乗ると響く独特のエンジン音は、水平対向エンジンでしか実現できません。また水平対向エンジンの大きなメリットとして、低重心である点は外せません。低重心だからこそ、衝突事故でのダメージも減らせるのは強みでしょう。ぜひポルシェに乗って、エンジン独特の音を楽しんでみてください。

 

ポルシェが水平対向エンジンを積む理由

エンジンには直列やV型などがあるにもかかわらず、ポルシェが水平対向エンジンを積む理由はメリットが多いからです。とくに独特のエンジン音を出すためには、水平対向エンジンでなければ難しかったでしょう。

 

「ボクサーノート」と呼ばれるエンジン音に憧れる方は多く、他社との差別化の意味もあります。

 

水平対向エンジンってこんなエンジン

水平対向エンジンは、クランクシャフトが中央になり、左右にピストンを置き、水平に設置するタイプです。軸方向に短くなることで、フラットエンジンやピストンが左右対称に動きます。

 

エンジンは別名「ボクサーエンジン」とも呼ばれますが、ボクサー同士がパンチの打ち合いをする姿に例えています。水平対向エンジンの発案者は「カール・ベンツ」でメルセデスベンツの生みの親です。

 

直列エンジンとの違い

現在でメインに開発されている直列エンジンは、一列に並んだシリンダーと上下に動くピストンが特徴です。ただ全長が長くなる点、全高が高くなる点などの問題を抱えています。

 

またエンジンにはV型もあります。V型エンジンは、左右交互に設置されたシリンダーをVの形にしているのが最大の特徴です。直列エンジンと比較すると、全長が抑えられると人気のエンジンでもあります。

 

水平対向エンジンを見てみると、2種のエンジンとは違い独特のメカニズムで作られています。左右に向かって設置されたピストンが水平方向に往復するので、全長や全高も低くできるのはメリットでしょう。

 

独特のエンジン音を出すため

ポルシェの「ドコドコ」という独特のエンジン音は、水平対向エンジンでしか実現できません。直列やV型エンジンでは出せない音だからこそ、ポルシェに乗っている気分が実感できます。

 

別名「ボクサーノート」と呼ばれるエンジン音で、ポルシェのブランド力も高められています。

 

水平対向エンジンにはメリットも多い?

ポルシェが水平対向エンジンを使い続ける理由は、伝統だからというのもありますが、数々のメリットがあるからです。水平対向エンジン自体のメリットは、実はさほど大きくありません。ただ独特のエンジン音にはファンが多く、いまだに使い続けられている理由です。

 

低振動でスムーズに動作

水平対向エンジンの一番のメリットは、ピストンが左右に平行に動くことで振動を減らせる点です。ほかのエンジンでは、クランクシャフトの振動を消すためにバランスウエイト(重りの一種)をつけるか、バランサーシャフトが組み込まれるなどの方法しかありません。

 

水平対向エンジンでは、フルカウンタークランクシャフトと同じような働きがあるため、低振動で乗り心地のよい車を実現させています。

 

重心が低く安定感がある

水平対向エンジン以外では、どうしても重心が高くなりがちです。理由はエンジン自体の仕組みにありますが、横に平らにできる水平対向エンジンは低重心を実現させています。低重心になることで、切り返しやステアリングの反応がよくなるなどのメリットも生まれます。

 

高剛性と軽量化の秘密

水平対向エンジンやV型エンジンは、高剛性が高いといわれます。理由は、直列エンジンと比べるとクランクシャフトが短く、曲げや荷重に強いからです。またエンジンの内部でも一番重量があるクランクシャフトが短いからこそ、軽量化も実現しています。

 

衝突時の安全面

水平対向エンジンは、全高が低いことで安全面でもメリットがあります。たとえば車の衝突事故が起きたとき、重心が低ければエンジンがフロアの下に潜り込めるからです。重心が高いとダイレクトに運転者や同乗者にもダメージは大きくなります。

 

その点重心が低いポルシェなら、最低限の被害で済むでしょう。

 

エンジンにはデメリットも存在

上記で水平対向エンジンのメリットをご紹介してきましたが、デメリットも存在します。現在、水平対向エンジンが主流にならない理由の1つでもあるので、以下に見ていきましょう。

 

エンジンが高価になる

水平対向エンジンは独特のメカニズムをもっているため、エンジン自体が高価になる点はデメリットでしょう。メリットの1つである低重心は実現されていますが、排気の関係で思ったようには重心が低くならない可能性があります。

 

また取り回しをよいものにするためには、オイルパンが障害となります。オイルパンがあることで、ドライサンプと呼ばれるシステムを導入する必要があり、エンジンが比較的高価になる点はデメリットでしょう。

 

オイル漏れの危険性

水平対向エンジンでは、シリンダーが水平に設置されているため、オイル漏れが起こりやすいという欠点もあります。通常のエンジンであれば、エンジンの下部にオイルパンを設置できるのでオイル漏れの心配は少ないのです。

 

ただ水平対向エンジンの場合、横に配置されたシリンダーやヘッドの影響で、間にあるガスケットからオイルが漏れやすくなります。

 

水平対向エンジンはなぜ主流とならない?

水平対向エンジンが使われなくなったのは、エンジンの横幅がありすぎるという欠点のためです。水平対向エンジンは横に長いため、ストロークを長くしてしまうと、エンジンルームに収まらなくなります。

 

また左右のシリンダーが水平に独立しているため、エンジンの制作工数が増えるというデメリットもあります。コストが高くなるのは時代に逆行しているともいわれ、採用するメーカーが少なくなった要因の1つです。

 

まとめ

ポルシェに使われている水平対向エンジンの特徴やメリット、デメリットなど、疑問が少しでも解消されれば幸いです。採用するメーカーは少ないのですが、独特のエンジン音を出すためには水平対向エンジンは必要です。乗り心地の良さやメリットを考えれば、ポルシェに水平対向エンジンは必須といえるでしょう。

 

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